特別講演講師・講演内容
11月30日(日)13:45〜 会場:1階テルサホール
塚本芳久氏(摂南総合病院認知神経リハビリテーションセンター センター長)
講演テーマ:「失行・失認に対する認知神経リハビリテーション」
【内容】
従来、失行・失認のリハビリテーションにおいて、行為の結果に対して誤りを繰り返して指摘することで、自己の欠損に気づかせて行為を改変することが行なわれてきた。しかし、脳は自律的なシステムであり、能動的に情報を収集し、経験を生みだし、自らを改変する特性がある。脳は健常なときも損傷を受けたときも内部で調和した一つのまとまった経験世界を立ち上げるのである。つまり患者が生きている世界は、経験が整合的であるにもかかわらず、行為が不適応になってしまう、経験と行為とが捻れた関係となった世界なのである。このような脳の作動原理からすれば、行為の結果のみに着目し、主体の経験を考慮しないこれまでのアプローチは、かえってこの捻れを強めてしまうもので、不適当であると言える。本講演においては、認知科学からみた「経験」の認知構造について解説し、その解体の諸相(失行・失認の病態の再解釈)と再組織化への介入方法(認知過程にまでアプローチできる理論と方法の開発)について述べる。